Vapor Trail

明るく楽しく元気よく

『組織づくりの教科書』を読んだ

章立て

第1章 「日本一オーラのない監督」はなぜ早大ラグビー部を優勝に導けたのか?
第2章 アサヒビールが「ずっと働きたい会社」である理由
第3章 成果主義の逆を行くモンベルはなぜトップ企業になれたのか?
第4章 「ワーク・ライフバランス」は企業の悩みをいかにして解決するのか?
第5章 なぜ「星野温泉」は「星野リゾート」に生まれ変わることができたのか?
第6章 一人一人への「信頼」が巨大な組織を作り上げた

第1章 「日本一オーラのない監督」はなぜ早大ラグビー部を優勝に導けたのか?

ryujinakatake.com
監督経験が無いにもかかわらず早稲田大学ラグビー蹴球部監督に就任した話。スクラムの参考になった。
体育会系のトップダウンとは違いボトムアップでいかに選手たちが考えるようにするかを徹底し、リーダー(監督)としての期待には一切応えず、戦略なども一切考えず選手たちに任せ自らが考えさせ「選手に考えさせて選手で勝つ」ようにした。

振り返り

試合の後でチームトークを行い、選手たちが互いに練習を振り返り情報を共有する。
自分たちで問題点を見つけ出し、考えさせる。ミーティングも質問から始める。「今月のテーマは何でしょう?」「今月は何が悪かったと思いますか?」といった質問をして、みんなに答えを出してもらう。
人間の思考はQ&Aをしないと入ってこない。チームトークで重要なことは次に繋がるようなコンセンサスが得られたかどうか。
例えばパスミスが起こった後に、パスをした方は「良いパスをしたのになんで取れないんだ」と思っている、パスをされた方は「パスしたほうが悪い」と思っている。この二人がコミュニケーションを取らないまま次のプレーをした場合、また同じミスが起こる可能性が高い。
ミスが有ったときに原因を突き止めるために振り返りを行う。どちらも自分は悪くないと思っているが、どちらかが素直にミスを認めるだけで意識が変化する。

ぶれないチームの作り方。

チームのマスト。何をしなければいけないのか。
チームのネバー。何をしてはいけないのか。
この2つを一人ひとりがきっちり理解している組織が強い。一人ひとりよりも組織のルールを大事にする。

第2章 アサヒビールが「ずっと働きたい会社」である理由

人事部門で大事なことはトップ方針や会社の戦略に沿って人事機能を発揮すること。
優秀なメンバーはフットワークが軽い。

第3章 成果主義の逆を行くモンベルはなぜトップ企業になれたのか?

自然が好き、アウトドアが好きといった一定のベクトルを向いている人が集まっている。
各々が幸せだと感じてくれれば良い。人と比べることなく自分が幸せだと感じることが大事。

商売が成功する3つの「かく」

「汗をかく」
「恥をかく」
「義理をかく」

「あなたは川を渡るときにお世話になった船を、これから行く砂漠の道中の間、引きずっていきますか?」
義理をかくの意味は、1回世話になったからといってその船を必要のない砂漠でも引きずっていくのか。つまり世話になった人間に対して恩を無視して新たな局面に行けるかどうかという意味。

想像力

登山と同じようにビジネスに於いても、先のことを予測しリスクマネジメントをする、経験からこれから先に起こりうることを警戒するという「想像力」が重要。
道を切り開いている人は自覚的に、このままでよいのか別の道に進んだほうがよいのか選択をしている。
組織として自分が動くのではなく現場に委ねて安心していけるような体制にすること。
自分で答えを出しても、他の人が答えを出しても、ほぼ同じ答えが出るならとても良い。

第4章 「ワーク・ライフバランス」は企業の悩みをいかにして解決するのか?

日本の労働生産性が低い*1

市場の変化によって効果的な働き方が変わっている。
イデアが出ない長い会議やスキルが低いまま仕事をしても生産性が低い。生産性を高めるために一人ひとりがスキルアップすることが重要。
→社外の人と交流をしたり、自分で勉強をしてスキルを上げたり、本を読んだりインプットする時間を生み出す。

残業を減らすための取り組み

朝メール
業務時間の中で何時間かけてどの順番で仕事をするのか予定を立てて朝にみんなにメールをする
→自分のタスクを把握し今日1日で終わらせなければいけない仕事を見える化する。これができていないとやらなければいけない仕事が残っているのではないかと不安になり残業につながる。

夜メール
1日の終りに実際の仕事の進捗をみんなで共有する。自分が認識していた作業時間見積もりと実作業時間の差が明らかになる。
はじめは予定通りに行かない。なぜ時間通りに進まないのか、スキルが足りていないのなら何の知識が足りていないのかを探すことでスキルアップにつながる。

第5章 なぜ「星野温泉」は「星野リゾート」に生まれ変わることができたのか?

当初、働き手がいない
ビジョンを明確にし将来像を明確に語った。
共感して入社してくれる人は増えたが理想と現実のギャップで辞める社員も多くいた。
しかし、理想のほうを現実に近づけることはしなかった。理想と現実のギャップを最大限埋める努力をする。

究極のフラット

社員一人ひとりが職場を超えて自由にコミュニケーションをとることを推奨し上司や部門の意見を代表するのではなく個人の意見を出してもらう。
必ずしも上の立場の人の言うことが正しいとは限らない。多様な意見が出るフラットな場は重要でリスクを共有し戦略は上からの押しつけではなく合意によるものだという意識が生まれる。

意思決定のプロセスを公開

意思決定の過程を公開しないでなにか物事を決めた場合、最前線の社員には「どうしてそうなったのか」背景が伝わらないため、意思決定、戦略、人事への不満が生まれる。
たとえば人事に関して責任者を選ぶときは立候補制で決める。
人事がリーダーを決めて押し付ける場合「あんな欠点のある人がなぜリーダーなのか」と不満が出る。
一方、立候補制で複数人の中から選ぶとそれぞれの候補者の長所、短所を比較して欠点をみんなでカバーしていこうという意識になる。
ベストな選択をするのではなくベターな選択をしたことがわかる。

感想

全体を通して「人を信頼して任せる」ということが共通していることだと感じた。
意思決定を他人に委ねてうまくいくような仕組みを作ることが大事。またビジョンや目標を共有しバラバラではなく同じ方向に進むようにする。