よく「OKR」という言葉を目にするがどういうものなのかよくわからなかったので読んだ。
- 第1章 今こそ、組織の時代
- 第2章 組織力の公式
- 第3章 変えるべきは意識ではなく仕組み
- 第4章 OKRで組織力が高まる
- 第5章 OKRの始め方
- 第6章 OKRの運用
- まとめ
- 第7章 OKR導入事例インタビュー
第1章 今こそ、組織の時代
一人の力には限界があり、大きな成果を生み出すには組織の力が欠かせない。また優秀な人達をかき集めたら大きな成果が出せるように見えるが、4番バッターばかり集めても勝つことはできない。
→チームワークなしに組織は強くならない。組織としての力を発揮するための仕組みがOKR。
目的を持つこと。
わくわくする目的を作る。目的を持つことで普段以上の力を発揮させ自分を成長させる。「わくわく」とは、これから起こる未来に対して、期待や喜びなどを抱いたときに自然と湧き上がってくる感情。
→目的にわくわくさせるには組織の目的に自分の目的を重ね合わせる。
参考:
トヨタグローバルビジョン | 経営理念 | 企業情報 | トヨタ自動車株式会社 公式企業サイト
第2章 組織力の公式
組織とは
組織=共通の目的を持って協力して達成しようとする人たちの集まり。
ただの共通の目的をもつだけの人たちの集まりでは集団にすぎない。
組織力≠個人の力の合計
組織力=個人の力の合計×相乗効果
→個々人の力を伸ばすと同時に組織としての力を発揮させることが大事。
個人の成長
人は仕事においてどういうときに成長するのか?
経験を通じてできなかったことができるようになったとき成長したと感じることができる。
例:困難を乗り越えたとき、高い目標を達成したとき
成長できる目標設定には以下の3つのゾーンが有り、自分ができるギリギリの範囲の目標を設定すると良い。
・コンフォートゾーン
・ストレッチゾーン
・パニックゾーン
参考:コンフォートゾーンから抜け出す方法
設定した目標に向かって行動していくこと、そして行動した結果何ができたのか、なにができなかったのか、次に何をするのか振り返ることが重要。
内省とフィードバック
本人が自分で振り返ること(内省)は大事だが、自分で気づけない点があったり、解釈を誤ることがある。
チームリーダーによるメンバーとの振り返りの支援がフィードバック。
フィードバックでは何ができて、何ができなかったのかを客観的に伝える。そして立て直しを支援する。あくまで支援であって、自身に考えさせ、細かい指示を出さないこと。
エンゲージメントとエンパワーメント
エンゲージメント=従業員の一人ひとりが企業の掲げる戦略・目標を適切に理解し、自発的に自分の力を発揮する貢献意欲。
エンパワーメント=従業員の持っている能力、意欲を最大限引き出し、自発的に仕事を進める力や権限を与えること。
マイクロマネジメントと丸投げのさじ加減
自分で計画し自分で自身を律しながら行動することが自律。
マイクロマネジメントは自律を阻害するしスケールしない。かといって丸投げもよくない。
→方向性、目的を明示し正しい理解をした上で任せることが重要。つまりWhy、Whatは共有するがHowは任せる。
最初からうまくは行かないがメンバーは失敗を通して学ぶことができる。リーダーが指示を出していてはそれ以上の成果は生まれない。個々人に任せることでリーダーが思いも寄らない方法やプロセスを生み出す可能性がある。
自律してもらうためには透明性を高めることが重要で、情報量に差があると正しい目標や方向性が理解されない可能性がある。期待した成果が生まれにくい。
共通の目的と規律
組織にとって多様性があることは相乗効果を生むが、その分組織としてまとまりが無くなる危険性があるため、目的と規律が重要。
・同じベクトルを向くための目的
・信頼関係を壊す行為をなくすための規律
ルールで縛るのはうまく行かないため、信頼できないの最低ラインを明確にすることが大事。
例:遅刻しない
第3章 変えるべきは意識ではなく仕組み
目標管理制度はなぜうまく行かないか?
目標が形骸化する。
・適切な目標が設定されない
・一度立てた目標が忘れ去られる
・目標に対するフィードバックが遅い
メンバーごとに目標を設定するため、他のメンバーやチームに関心が向かない。
高い目標を掲げると達成できない可能性があるため挑戦しづらい。
意識を変えるのではなく仕組みを変える。人の意識に頼っていては変革や成長が難しく仕組みが必要になる。また仕組みを作ることで再現性が高くなる。
第4章 OKRで組織力が高まる
OKRとは、Objectives(1つの目的)とKey Results(2~5個の重要な結果指標)のこと。
目的(Why、Why)は定性的、結果指標(How)は達成度合いを測ることができる点で定量的である。
目的の3つの条件
- 挑戦的であること(高い目的)
- 魅力的であること(わくわくする)
- 一貫性を持つこと(組織・部門・チームで整合性が取れている)
重要な結果指標
- 目的達成につながること(目的のための指標)
- 計測可能であること(事実ベースで明確な判断基準であること)
- 容易ではないが達成可能であること(達成率が50%くらいの指標にする)
3ヶ月毎に目的を設定し直し、1週間毎に1on1をしてフィードバックを行う。
第5章 OKRの始め方
そもそもOKRを導入するべきか
どのような課題を解決しようとしているのか、本当に優先度が高いのかしっかり検討することが大事。
導入してすぐ効果が出るとは考えないほうがよく、自分たちの組織にあった仕組みにすること。
共通の目的の落とし込み方
ミッション=組織の存在意義
ビジョン=どこを目指すのか示すもの
バリュー=行動指針、組織として大切にすべき価値観
参考: ミッション・ビジョン・ステートメント - 企業情報 - ヤフー株式会社
組織全体のミッションを各部門、チームのミッションに落とし込む。ミッション、ビジョン、バリューを実際の活動に反映させる。
目的の作り方
- 会社の歴史や経緯、市場の展望などストーリーを全員で振り返る
- メンバーが目的や方向性に意義が感じられるようにミッションを身近な言葉に置き換える
参考:「地図に残る仕事」というキャッチコピー - チーム全体が達成して喜べるような状況を想像して何が達成できたらそのような状況になるのかを考える
- ゲーミフィケーションの要素を取り入れてユニークな作戦名にする
KRの作り方
KRの必要条件
1. 目的と結びついていること
2. 計測可能であること(指標の計算方法を明確にする)
3. 容易ではないが達成可能であること
4. 絞り込まれていること(重要なもの、影響の大きいものから選ぶ)
2種類の指標
・行動指標
100人に営業メールを送るなど、どれだけ行動したかを示す指標
・結果指標
売上◯◯円など、行動した結果を示す指標。
KRは結果指標を採用すべきであり、なぜならメンバーが行動を自ら考え創意工夫することができるから。行動指標にすると行動すること自体が目的になってしまいがち。
OKRは階層構造
全社レベルのOKR→部門のOKR→個々人のOKRに落とし込んでく。 banto.jp
第6章 OKRの運用
チームへのフィードバック
メンバーを巻き込みながらフィードバックをすることが大事。
→成長に不可欠なのがフィードバック。進捗確認をどのようにやるか。自分で考えろと任せきりにしていないか。
フィードバックで大事なのは結果見ながら、次にどういう行動をすべきかを決めて立て直しをすること。
→現状認識をして次の対策を取る。行動指標に落とし込んで検証可能なようにする。
フィードバックのタイミング
フィードバックはできるだけ早く行う。
上司から週1回以上フィードバックを受けている部下は25%しかいません。そればかりか、フィードバックを全く受けていないという人が35.9%も存在します。 『本気でゴールを達成したい人とチームのための OKR』P160
リーダー「フィードバックはその都度している」ではメンバーにはフィードバックとは伝わらず、公式に時間を決めて仕組み化することが重要。
週初めのミーティング(チェックイン)
1週間単位でチーム全体のフィードバックを行う。OKRの進捗の確認。チームの目的(O)を繰り返し伝える。KRの進捗状況を数値で確認する。
今週のタスクを確認し優先度を決める。また、週の終わりに何ができなかったのか、「今週はがんばります」などではなく「○日までに終わらせます」など具体的な期限を設定する。
障壁がないか率直に話し合う。会議の終わりはポジティブな言葉で締める。
週終わりのミーティング(ウィンセッション)
週の終わりに今週の結果と立て直し策を決める。重要なことは結果にかかわらず挑戦したことを承認・称賛すること。否定や叱責を恐れるようになると低い目標を立てて達成率を上げるようになってしまう。
個人フィードバックのやり方
週次で週の終わりに行うのが効果的。
→月曜などにやると土日が憂鬱になりそう。金曜日に結果確認と次の立て直し作を決めることが大事。
何を報告するのか事前に決めて連絡する。
リーダーは報告内容に沿って1on1を行う。個人のOKRの進捗を確認し今週の業務が計画通りにできたのか把握する。個人のOKRに直結する業務の取り組み状況と所感を報告してもらい、自習以降の行動を考えてもらう。
メンバー自身ができていないことを正しく把握できているか確認する。リーダーとメンバーでこの共通認識を持つことが大事。
四半期ごとのチーム全体での振り返り
KPTを使用する方法
・Keep:続けたいこと、良かったこと
・Problem:問題点、やめたいこと
・Try:新たに取り組みたいこと、挑戦したいこと
この3つをチームメンバーで議論しながら振り返る。
まずテーマ共有を行い事実だけを振り返る。次にKとPを各自で考えて付箋などに出してもらう。KとPの理由を発表してもらう。Tも同じように各自で考えて付箋などに出してもらう。
チームでの振り返りのルール
・記憶が鮮明なうちにできるだけ早く振り返りを行う
・問題解決に集中し責任追及の場にしない
・リーダーはメンバーの発言の多い、少ないに注意し、なるべく均等に発言できるように配慮する
まとめ
OKRで大切なことは「わくわく」する目標を全員で追いかけ、メンバーを「巻き込み」、すばやく「振り返り」を行うこと。
1. そのためには、必ず「わくわく」する目的(O)を確認し共通認識とすること。
2. KPTなどを使い全員で振り返りの結果や意見を説明できる場を作り、コミュニケーションを促進しコラボレーションを生み出し「巻き込む」こと。
3. ①自分で振り返る「内省」、②上司が支援する「フィードバック」、③「チームでの振り返り」の3つを公式にスケジュールとして組み込み仕組み化すること。
目的を示し導くこと=リーダーシップ
目的に向かうための力を最大化すること=マネジメント
→この2つを回せるようにOKRを中心に実行すること。
第7章 OKR導入事例インタビュー
チームとしてどんな機能を作ってリリースするのかが大事なので、エンジニアは個人のOKRを設定しづらいらしい。そのため、個人のOKRは設定せずチームのOKRを追うという形にしている。