『1兆ドルコーチ』を読んだ

 以前から思っていたのだけれど、マネジメントされるではなくマネジメントする側にならないと給料が上がらないと思うので、そういうスキルについて知るために読んだ。

人がすべて

どんな会社の成功を支えるのも、人だ。マネジャーのいちばん大事な仕事は、部下が仕事で実力を発揮し、成長し、発展できるように手を貸すことだ。

3つの柱

  1. 支援
    ツールや情報、トレーニングやコーチングを提供すること。実力を発揮し、成長できるように手助けする。

  2. 敬意
    一人ひとりのキャリア目標を理解し、彼らの選択を尊重する。そして、キャリア目標を達成できるように手助けをする。

  3. 信頼
    自由に仕事に取り組ませ、決定をくださせること。部下の成功を信じること。

コーチン

「優れたコーチは選手をどうやってよくするかを、夜も眠らずに考える。選手がもっと力を出せるような環境を作ることに喜びを感じる。コーチというものは、絵に的確に筆を入れようとする画家に似ている。コーチが描くのは人間関係だ。普通の人は、他人をよくする方法を考えるのに時間をかけたりしない。だが、コーチはそれをやる。」


コーチは教える相手がどれだけ自己認識できているかを知る必要がある。コーチは相手の強味と弱味を知るだけでなく、相手が自身の強味と弱味をどれだけ認識しているかを知らなくてはならないのだ。

 自分自身、大学生のときに就活で自己分析した内容を先輩に見てもらったら、「自己認識が歪んでいる」と言われたことがある。つまり、自分はこういう人間だと言語化したら全然違うと言われたのだ。
 自分の能力、強みや弱みを的確に認識するということは難しいことだ。強みや弱みというものは他人と相対的に比較しないと見えてこないものだと思う。もし世界中に自分一人しか存在しないとしたら、自分の背が高いのか、それとも低いのか認識することはできない。何をするにしても現状を正しく認識することは最も大事なことの一つだと思う。地図で例えるなら現在地がずれているようなもので、現在地がズレたまま目的地にきちんとたどり着くことは難しいだろう。優れたコーチングはこの認識のズレを修正し、正しい目的地に到達することを手助けしてくれるのだろう。

相手としっかりと向き合うこと

ビルはコーチングのセッションで、いつもじっくり耳を傾けてくれた。うわのそらでスマホのメールをチェックしたり、腕時計をちらっと見たり、窓の外に目をやったりすることは決してなかった。

 これは実は何よりも重要なことだと思う。「自分の話本当に聞いてくれているのかな?」「話して意味があるのかな」「この人に話しても無駄だな」という疑念が生じると正直に自分のことを話す気を一気に失くさせる。

話を聞く

「発見や洞察を促すような質問をしょっちゅうする人は、最高の聞き手だと相手に思われる。」


自分から多くの質問をして、相手の状況を多面的に理解しようとする。そうすることで、用意された質問(や答え)に囚われずに、問題の核心を明らかにすることができるのだ。


誰かの話に耳を傾けると、相手は大事にされていると感じる。...従業員の話を聞く、声をかけるといった「ありきたりの何でもないこと」が、すぐれたリーダーシップの重要な側面だという。そうした行動は従業員に「自分は尊重されていて、目に見えない名も無き存在ではなく、チームワークの一端を担っていると感じ」させることができるからだ。


「リーダーの敬意のこもった問いかけ」に効果があるのは、相手の「有能感」(自分は試されていて、それに応えることができるという感覚)、「関係性」(他者とつながっている)、「自立性」(自分が状況をコントロールし、選択しているという感覚)を高めるからだという。

 コーチングというと相手を指導する、的確なアドバイスをするというイメージを持ちがちだが、相手から話を引き出す、相手に何かを促すということは、的はずれなアドバイスよりも重要。

「人を大切にするには、人に関心を持たなくてはならない」

君の家族はどうしている?何が君を駆り立てているのか?まず絆を築き、その理解をもとに仕事にかかるのが、ビルのやり方だった。


ビルは人を大切にした。どんな人にも敬意を持って接し、名前を覚え、温かい言葉をかけた。彼らの家族のことを気にかけ、言葉より行動でそれを示した。


友人がケガや病気をしたり、なにか助けが必要になったら、何を置いても駆けつけるんだと、ビルは教えてくれた。それがやるべきことだと。ビルはそうした。とにかく駆けつけるんだ。

 相手のことを知るといろいろな行動や意思決定の理由が見えてくる。仕事のパフォーマンスが悪い人の背景には、子どもが産まれたばかりで、おまけにパートナーの体調が悪くて大変な状況があるのかもしれない。「そんなことは仕事に関係ない」と言うのは簡単かもしれないが、自分はそういう事を言う人にはなりたくない。「信頼できる人」というのは困っているときに見捨てない人・・・だと思うから。ただし上辺だけの話を聞くだけではダメで踏み込んだ話をしないといけないと書かれている。相手とのあっぴろげな会話をするには自分のことも曝け出さないといけない。
 また、友人や家族をないがしろにしないで大事にするというのは簡単なことではない。ついつい、あともう少しと残業してしまったり、忙しいからと理由をつけて何かを断ってしまう。そういう行動の積み重ねが大きな亀裂を生み出してしまう。

人に興味を持つには

ビルはおそらく私たちの知るなかで最も「人間好き」な人だった。では、もともとあまり外交的でない人はどうすればいいのか?練習だ。

 自分は他人にあまり興味がない。名前を覚えるのが苦手だし雑談をするのも得意ではない。自分と波長が合う人と話すことはできるが、そうではない人と話すのは正直気が進まない。でもそれではいけない。アドビCEOだったBruce Chizenはビルのやり方を真似て克服したと書かれている。

  1. まずは人の名前を覚えるようにした。
  2. エレベータで乗り合わせた人に話しかけ、調子はどう、何に取り組んでいるのと尋ねた。
  3. カフェテリアでは思い切って初めての人たちと食事をした。

 こうした努力が徐々に実を結び、彼が開発者を会話に引き入れようとする姿を見て、エンジニアのリーダーたちが彼に一目置くようになったという。

「人間関係を築くことは、僕にとって自然にできることじゃなかったが、努力した」とブルースは言う。「さいわい、次第に無理なくできるようになる。」