落合は好きだとか嫌いだとか、そうした物差しの埒外で生きている人間だ。
面白いと聞いたので読んでみた。落合監督について全く知らなかったが面白かった。
勝つ仕組みの構築
「打つことは良くても三割だ。でも、守りは十割を目指せる。勝つためにはいかに点をやらないかだ。」
「落合が徹底させた掟は自然と相手ピッチャーに球数を費やさせ、じわりじわりと静かに追い詰めていった。気づけば相手が自滅し、スコアボードに点が刻まれている。中日の野球はそういう野球であった。落合は、派手にヒットやホームランを連ねなくとも得点できる仕掛けを打線に施していたのだ。偶然性に頼らない、限りなく勝利の可能性を高める野球だった。」
見ている人からつまらない野球だと言われても、点が取れなくても投手がゼロに抑えれば負けることはないと守備を徹底して勝つ仕組みを構築した。
プロ意識を求める
「与えられた選手ってのは弱いんだよ。何かにぶつかれば、すぐ潰れる。ポジションってのは自分でつかみとるもんだ」
例えば、どこかを痛めた選手に、落合は「大事を取って休め」とは決して言わなかった。痛みを訴えてきた選手に対して、落合の口から出るのは「やるのか?やらないのか?」という問いだけだった。「できません」と答えれば、次の日には二軍のロッカーにいることになる。それだけだ。権利と引き換えに冷徹に結果と責任も求められる。
球団や監督ではなく自分のために野球しろ。
技術志向
物事には言えばわかる段階と、言ってもわからない段階があるんだ。 落合が求めていたのは若さが持つ勢いや可能性という曖昧なものではなく、確かな理と揺るぎない個であった。
「心は技術で補える。心が弱いのは、技術が足りないからだ。」 落合が求めたのは日によって浮き沈みする感情的なプレーではなく、投資や気迫という曖昧なものでもなく、いつどんな状況でも揺るがない技術だった。
スイングする際の一挙手一投足全てに意味があり一つ一つの動作に対してちゃんと意味をもたせていて合理的に考えられている。
自分で考えさせる
「一人で考えて練習しなかったか?誰も教えてくれない時期に、どうやっていきなり試合のできる身体をつくれるのか。今までで一番考えて練習しなかったか?」
「選手が訊いてくるまで教えるな」「選手と食事には行くな」「絶対に選手は殴るな」
身体ができていないキャンプ初日に紅白戦を行って選手を見極めて篩いにかけたり、徹底して自立したプロフェッショナルとして仕事をするように求めた。