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2022年の振り返り

2022年の振り返り

1月 エクセルで設計書作っていた。

2月 エクセルで設計書を作っていた。設計書ノルマがきつかったので転職活動をする。

3月 転職した。

4月 ぼちぼち働く。サーバ側の軽微な修正などをしていた。

5月 同上。

6月 PHPもやりつつReact+TypeScriptでフロントの修正もやったりしていた。AWS Developer Associateの資格を取った。

7月 会社の取材で初出社した。

8月 相変わらずサーバもフロントも両方やる。

9月 相変わらずサーバもフロントも両方やる。

10月 相変わらずサーバもフロントも両方やる。

11月 コロナに罹ったが1日で治る。

12月 JSTQB FLの資格を取った。

 

総括

 2022年は3月に転職したことが一番大きなイベントだった。前職のプロジェクトでは三次請けとして設計書をエクセルで作っていたが、いついつまでに何枚の設計書を出しますみたいなノルマがあってそれに嫌気がさして転職活動をした。あとは下請けの受託開発だと設計〜実装まで入ってその後の保守・運用は別会社みたいな形になるので、あまりスキルが身につかないなぁと違和感を感じていたのも理由の一つではある。ただCTOの人は一人で10プロジェクトくらいに関わってめちゃくちゃ仕事ができる人でおまけに良い人だったのでそれは心残りではあった。コロナが流行してフルリモートで働くことも可能だったし会社自体は良い会社だった。

 転職した会社は東京にあるので初日から今までフルリモートで働いている。7月に1度だけ出社した。サーバ側はLaravelがメインスタックでフロントはReactという自分のスキルセットともマッチしていたこともあって自分の作った機能がリリースされてもほぼバグなしで割と成果を出せている。開発体制についてはインフラは専門の人がいるしQAの人もいるのでちゃんとしている。受託開発でも自社サービスでも結局は周りとコミュニケーション取りながら仕様を詰めていく作業が大事なところは変わらないと思った。

初めて自社サービスの会社で働いているが営業が強いって大事なんだなぁと感じる。いくら良いサービス作っても売れなかったら意味ないし営業の人が強かったら良いサービスじゃなくても売れるんだなぁということを学んだ。

スキル面でいえば初めて業務でTypeScriptを使用できた。型があるのは最高だしTypeScriptの型の柔軟性はすごいと思った。あとは資格を取ることを会社の評価目標に入れ込んだこともあって資格を2つ取った。この年になると今までの経験で仕事ができるようになって「この1年で自分は成長したのか?」と疑問に感じたりするが、資格を取ったので少なくとも新しいことを学んだということの証明になるので取っといて良かったなと思う。

JSTQB FLを受けた

きっかけ

単体テスト結合テストシステムテスト→受け入れテストみたいな流れは理解しているし、境界値テストやデシジョンテーブル作ってテスト的なことは今までやってきたが、テストプロセスとかあまり理解していなかった。
品質保証(QA)と品質コントロール(QC)の違いとかもよくわかってなかった。現在の開発体制だと開発完了してQCチームの人達がテストをしてくれるのだが、QCの人がいるチームで働くのは初めてだったこともありJSTQBを受けてみることにした。
あとはCBTでいつでも受けることができるようになったことは大きい。
prtimes.jp

勉強した感想

IPAとかAWSの試験より実務で活かせそうな知識が多くて勉強していておもしろかった。
SIer寄りのウォーターフォール前提の固い内容なのかなと思ってたけどアジャイル開発を前提にした内容もあって良かった(アジャイルテスト担当者向けの試験もある)。
テスターの人も仕様書のレビュー段階から積極的に関わってシフトレフトしようなとか、何度も繰り返すようなレグレッションテストは自動化していこうなとか書かれていて学びが大きかった。もちろんプロジェクトの特性に合わせてテストプロセスも変えようみたいなこともちゃんと書かれている。

この対策本を使ったのだが解説が実務的な内容に寄り添っていて良かった気もする。

ステークホルダーの意思決定のための情報提供もテストの目的で欠陥がある場合どの程度致命的なのか、直してからリリースするのか、それともリリースを優先して後で直すのかなどの意思決定を助けるみたいな内容とか、テストの心理学という章ではプロダクトの品質を良くすることという目的は共通なのでテスターは開発者と対立しないようにしようなとか、仕事やっていく中で直面したときの心構えとかも網羅されていてよかった。

他人の気持ちや、他人が情報に対して否定的に反応した理由を理解するように努力する。
自分の言ったことを他人が理解し、他人の言ったことを自分が理解していることを確認する。
p27 『テスト技術者資格制度 Foundation Level シラバス Version 2018V3.1.J03』 https://jstqb.jp/dl/JSTQB-SyllabusFoundation_Version2018V31.J03.pdf

→印象に残っている文。テスターの人だけではなくすべての人に大事なことではと思う。

あとは意図しない挙動のことを「不具合」とか「バグ」と今まで呼んでたけど、欠陥、故障、不正、エラー、根本原因などの語彙が増えた。

試験についてと結果

対策本の模擬試験だと6割取れるかなくらいで怪しかったが、実際受けてみると選択肢の内容で迷うことはなかったので試験途中で「これは受かったな」と思った。 試験結果が出ましたというメールが来て約1週間くらいで結果がわかるがCBTならAWSみたいにすぐ結果出てほしいですね。内容的な面でいうとテスト技法の問題の比率もっと多くてもよいのでは?とは思った。 試験料が22000円とそこそこ高いので無事受かってよかった。

あと取りたい資格としては、データベーススペシャリストネットワークスペシャリストCCNAあたりを目指したい。ネットワークが苦手なのとIPAの試験勉強が苦痛なので次はCCNAを取りたい。

最近読んだ本

アジャイルでのテストについて興味を持ったから読んだがあまり刺さらなかった。

「 Quality is not an act, it is a habit.」というものがあります。つまり彼は、( 品)質とは一度の行為ではなく習慣や日々の 反復であると述べています。 Joseph Yoder; Rebecca Wirfs-Brock; Ademar Aguiar; 鷲崎 弘宜. アジャイル品質パターン「QA to AQ」 伝統的な品質保証からアジャイル品質への変革(CodeZine Digital First) (p.15). Kindle 版.

ただこの言葉は印象に残った。

かつては携帯電話のシェアトップだったがiPhone,Androidの登場によって一気に転落しMicrosoftに携帯電話事業を売却したNOKIAでCEOだった人が書いた本。

元々、F-secureという会社のトップでNOKIAとも関わりがあった筆者がNOKIAの取締役になってから時系列で話が進み、じわじわと売上が下がりシェアも落ちていって気づいたらどうすることもできなくなっている恐怖が伝わってきて面白い。

「首吊りの木にゆるくぶら下がる」というフィンランド語のことわざがある。ちょうど真綿で首をじわじわと絞めつけられるような感覚だ。カレンダーが少しずつ進んで二〇一四年春になると、多くの人が逆風だと感じ始め、息苦しさも覚えるようになっていた。
リスト シラスマ. NOKIA 復活の軌跡 (pp.353-354). 株式会社 早川書房. Kindle 版.

企業文化の問題

取締役会は経営戦略の承認(企業によっては戦経営執行チームと戦略立案に積極的に関与する場合もある)が主で、儀礼的にしか話が進まずなにか問題があっても踏み込んで議論をすることはなかった。「消費者主導のソリューションカンパニー」「活発なエコシステム」など聞きあたりの良い言葉を並べ、具体的に何を指していてどう実現すればいいのかわからず、戦略が欠如していた。

事実は常に歓迎すべき機会であって、決して否定的なものではない。だから、私の好きな言葉の一つは「悪いニュースはない。悪いニュースは良いニュースだ。良いニュースはニュースではない」というものなのだ。悪いニュースを受け入れることは、人々があなたやチームメンバーに実際に何が起きているかを伝える唯一の方法だ。事実に対して、特にそれを知らせてくる人たちに怒ってはならない。みんなが伝えるニュースが悪ければ悪いほど、感謝の気持ちをより強く持つべきだ。そうやって、将来的に悪いニュースを早めに共有するようみんなを促していく。
リストシラスマ.NOKIA 復活の軌跡(pp.195-196).株式会社 早川書房.Kindle版.

Symbian OSの問題

ja.wikipedia.org

NOKIAのデバイスにはSymbian OSを採用していたが、デバイスごとにOSがカスタマイズされておりかなり複雑になっていた。またなにか操作をするたびに「データ通信の料金が発生することを知っていますか」などの確認を求められるなど使い勝手が悪かった(ユーザーから苦情が来ないように通信会社が要求していた)。NOKIAはこういった負の遺産がある一方で、Appleは新参者のためそういったしがらみが一切なく、ユーザーの使い勝手を第1にしていた。

二〇〇六年までに、ノキアは年間一二種類のシンビアン搭載デバイスを導入したが、その多くが新モデルごとに独自のソフトウエアを使ってカスタマイズされていた。その結果、イライラするほど重複だらけで、どこに独自性があるかも曖昧で、全体的に混乱をきたしていたのだ。
リストシラスマ.NOKIA 復活の軌跡(pp.21-22).株式会社 早川書房.Kindle版.

コンパイルするのに48時間かかる

また現場の悪いニュースが上に伝わらずに常に数ヶ月のスケジュール遅延が常態化していた。このことで最新のチップやカメラを搭載していても、製品のリリースが半年遅れるとすでに一世代古くなっており消費者にとって魅力的でなくなってしまう問題があった。遅延の根本原因は何なのか解決策はあるのかと聞くと「コンパイルに48時間かかっているが24時間になる見込みがある」という回答が返ってきて激怒したという。筆者はプログラマのためこれのヤバさをすぐに理解した。

四八時間というコンパイル時間を聞いて私は激怒した。後からわかったことだが、コンパイルだけでなく、さまざまなコンポーネントを別々のチームが担当するので、各チームがコンパイルしたコードを集めて、それをさらにコンパイルする準備作業も含めると、全体の構築時間は二週間を要した。構築後にテストをしてバグが見つかったときには、チームはすでに新しい案件のコーディングに取り掛かっていて、テスト結果は二週間前のものなのだ。大惨事はこのように起こるべくして起こるものだ。私たちはまさにその惨状を目の当たりにしていた。)
リストシラスマ.NOKIA 復活の軌跡(p.109).株式会社 早川書房.Kindle版.


映画監督が撮り直しが必要かどうかを判断するために、撮影したばかりのシーンを見るのに四八時間待てと言われるようなものだ。たとえコンパイルに二四時間かかるだけでも悲惨と言える。プログラムがうまく動くかどうかのテストで四八時間も待たされるのは永遠にも等しい。 さらに悪いことに、ノキアシンビアンソフトウエア担当組織には細かく分業する体質があり、それがあらゆるステップで進行の妨げとなっていた。アップルであれば、ソフトウエアを開発すべきデバイスは一つしかない。ノキアには数十機種あり、それぞれで独自のソフトウエア仕様と開発プロセスが必要となっていた。 むくむくと恐怖心が膨らんでくるとともに、私は気づいてしまった。これほど重要な分野でこの種の非効率が長い間続いてきたのであれば、開発組織全体がそれでいいのだと学習してきたことになる。となれば、他にも容認しがたいことがたくさん容認される状況になっているということだ。イライラさせられる遅延の理由に初めて合点がいった。 たとえば、こういうことだ。シンビアン関連の研究開発担当者は全員、コンパイル時間が長いとわかっていたに違いない。リーダーたちがそのことを注意したり、切迫感をもって対応したりしないのを見てきたので、これは特に危険なことではないと論理的に結論づけたのだろう。
リストシラスマ.NOKIA 復活の軌跡(p.107).株式会社 早川書房.Kindle版.


結局のところ、遅延は長年ノキアの忠実な友となってきたのだ。私は頭に血がのぼり、「悪いニュースを隠して、問題が解決した後でのみ取締役会で報告するというのはいかがなものでしょう」と、オイスタモに言った。「解決する前に問題点を話す勇気を持たなくては」 オイスタモは同意した。彼は本当に良い男で、私が腹を立てている理由を理解していた。彼はただこう言った。「おっしゃる通りで、本当に良くないことです。何と言っていいのか、わかりません。私もこの件を最近知ったばかりなのです」 今や、大型ハンマーで頭を殴られたように感じた。「噓でしょう?」と、私はブチ切れた。利益の大半と短期的な成長可能性を託したプラットフォームの開発方法に根本的な欠陥があったというのに、勝てるデバイスの市場投入を直接担当する責任者が、これほど重大な問題があることを知らなかったというのだ。私はあきれ果てて言葉を失った。


中間管理職が明らかに経営陣にそういうニュースを知らせるのを恐れていたからだろう。たとえば、マネジャーが火事の発生を経営陣に知らせるよりも、家が燃えるのを見ているのを好むような企業文化だとしたら、どうなるか。何百人、何千人ものソフトウェア開発者が、私達が今議論していた非効率について知っていたはずだ。なぜ彼らは何も言わなかったのか。トップリーダーがだれも知らないことなど、どうしてありえるのか。起こっていることを、リーダーたちはなぜ調べようとしなかったのか。気にならなかったのだろうか。
その瞬間に、過去二年にわたって私を困惑や混乱、不安に陥らせてきた根本原因を理解した。企業文化や組織全体に、過去の成功に守られ、失敗を恐れるばかりで、悪いニュースを受け付けず、説明責任の感覚を鈍らせるウィルスが蔓延していたのだ。
リストシラスマ.NOKIA 復活の軌跡(pp.108-109).株式会社 早川書房.Kindle版.

プラットフォームとエコシステム

ハードウエアの能力からソフトウエアの能力へ、プラットフォームに関してはOS(シンビアン、ミーゴ、iPhoneOSなど)からエコシステム(iTunes、OviStore、iAdなど)へ、内部の組織能力からエコシステムの組織能力へと、戦場が移っていることは要注意だ。私は次のように追記した。「この業界における持続可能な競争優位の源泉が、『誰が最良のデバイスを持っているか』から、『どのデバイスがデジタル・コンテンツの消費に最も適しているか』、あるいは『どのデバイスが最も望ましいコンテンツを最も多く取り揃え、アクセスできるか』へとシフトしてきた」
リストシラスマ.NOKIA 復活の軌跡(p.93).株式会社 早川書房.Kindle版.

スマホの登場によってハードウェアよりもソフトウェアの重要性が増した。PlayStoreやAppStoreでアプリを自由に公開することができ、魅力的なアプリがユーザーを惹き寄せ、ユーザーの増加が更に開発者を魅了するというエコシステムが生まれた。

ジョブズはカッラスオヴォに素っ気なくこう告げたという。「あなたがたは私の競争相手ではない。アップルはプラットフォームであり、他にプラットフォーム企業はマイクロソフトしかいない。もちろん、グーグルのアンドロイドもあるが、彼らはアップルの知的財産権を侵害している。私は何十年もの間、自前のプラットフォームを構築してきた。あなたがたは始めたばかりだ」と。何年も経ってから私はこの話を聞いたが、「ノキアはすでに過去の会社だ」というジョブズの言葉はカッラスオヴォにとって何よりもショックだったそうだ。)
リストシラスマ.NOKIA 復活の軌跡(p.100).株式会社 早川書房.Kindle版.